2016年8月22日月曜日

ARCHICAD 20 - ソフトよりも大切なもの

いよいよARCHICAD 20のリリースです。皆さんは私が、その内容がいかに素晴らしいかを書くものと思われているのではないでしょうか。もちろん、バージョン20は非常に良いアップグレードとなりました。ここ数年で一番良いと言っても過言ではないでしょう。ただ、今回は違う話を書きます。それは、いかにARCHICADが優れていても(これから更に進化していくにしても)、ソフトそのものだけでは使う人の仕事のやり方を変えるまでには至らない、それには他に重要なファクターが存在する…と言うことです。

先日シンガポールに行った時、私は他のBIMソフトからARCHICADに乗り換えようとしている大手のデザイン事務所に対してのプレゼンテーションに参加していました。幹部の一人(実はトップの方でした)は、ほぼずっと静かに座っていらしたのですが、最後に一つ興味深い発言をされました。「我々が●●●からARCHICADに乗り換えようとしている最大の理由は、GRAPHISOFTから受けられる上質なサポートにあるのです。」機能、性能、操作性、連携など私たちが普段アピールしている点には全く触れず、サポートのこと「だけ」を話したのです。

その時から私は「一体GRAPHISOFTのビジネスとは何なのだろう?」と考え続けています。私たちは何を売っているのか? すぐに「BIMソフトウェア」と言う答えは出るものの、それだけではない…実は私たちは「新しい仕事のやり方」を提供しているのではないか、そしてARCHICADはその新しいワークフローの一部に過ぎないのではないか、との思いが段々と強くなってきました。もちろん、ソフトそのものは関係ないと言っている訳ではありません。優れた性能と操作性を持ったOPEN BIMソフトであることは必須条件であり、その部分はブダペスト本社で働く我々の同僚が担ってくれています。大事なのは、ARCHICADをベースにした新しいワークフローを用いることによって、顧客の仕事を効率化し業績を上げることが出来るのかと言うことです。そうでなければARCHICADは「豪華な夕食のために山海の珍味を集めたのですが、レシピがないので調理できません。それでは!」そんな風に例えられてしまうかもしれません。

マニュアルを読めばモデリングツールの使い方やレイヤーセットの作り方、IFCファイルの保存方法などはすぐに理解できます。でも、それだけでは十分ではないのです。そもそも何をモデリングする(しない)べきなのか、どんな種類のレイヤーセットを作るべきか、どのように確認申請の図面を作成するのか、ARCHICADと普段使っているMEPアプリをIFCでどのように接続するのか、なども知っておかなければなりません。このような高度な知識(いわゆる「ノウハウ」)が前述の「調理のためのレシピ」となって、本当の意味でARCHICADのパワーを活用することが可能になり、ひいては仕事のやり方までを変えていきます。

しかしながら、もし私たちがこの「ノウハウ」をユーザーが作ってくれる物だと期待していたら、ベンダーとしてきちんと仕事をしているとはいえないでしょう。これが、グラフィソフトジャパンで最大の部署は営業ではなくBIMインプリメンテーショングループ (BIMi) であると言う理由です。BIMiの社員は、ソフトウェアそのものに勝るとも劣らないほど重要なこの「ノウハウ」を培い、継続的に進化させていく業務を担当しています。具体的には、ユーザー自身でARCHICADが使えるようになるよう手取り足取り教える「JUMP!」トレーニングや、「How to use ARCHICAD」ブログ、GRAPHISOFTヘルプセンター、そしてもちろん莫大な時間のユーザーサポートなどで実現しています。 また、GRAPHISOFT Registered Consultants (GRC) の方々が本を書いたりトレーニングを開催したりすることによって、効率化の解決策を模索しているユーザーの手助けをしていることも忘れてはなりません。

ソフトウェアとノウハウ、両方の要素が揃わない限り、将来性はあるが違和感のある良く知らない物のために、以前から使い慣れた2Dワークフローを捨てることは出来ないと思います。ノウハウを年々積み重ねていくことは、ソフトを改良していくことそのものより、とても重要なことです。私たちグラフィソフトジャパンでは、新しいテクノロジーには飛びつかず世の中の主流になってから取り込むタイプの方々にもARCHICAD 20でBIMをスムーズに導入していただけるよう、さまざまな取り組みをしてきました。ARCHICAD 20は年齢が20歳になっただけではなく、内容とノウハウでも成熟期を迎えました。―いよいよ「成人」になる準備が出来た訳です!



2016年8月3日水曜日

BIMx の新時代が始まる

BIMx PROが発売されてもうすぐ3年になります。(前はBIMx Docsと言う名前でした)良い機会なので、現状について書きたいと思います。App Store‎とGoogle Playのランキングでは、BIMxとBIMx PROは全てのデザイン・建築部門の中で ダウンロード数・人気共に常に上位に入っています。



App StoreとGoogle Playの両方でBIMxは人気のアプリです

発売以来、BIMx PROには継続的に新機能が加えられ、単なる2D/3Dビューアー以上のアプリとなりました。現在ではBIMcloudサーバーに接続が可能になり、ユーザーはBIMデータを閲覧したり中を自由に見て周れるだけではなく、注釈付きのチームワークメッセージをスクリーンショットや写真を添付して送れるようになり、BIMx PROを効果的なコミュニケーションツールとして使用できるようになりました。今やBIMx PROはBIMバリューサークルの第3の柱として、ARCHICADワークフローに欠かせないものとなっています。



これはもちろん初めての試みではないのですが、今後はBIMx PROにだけ新機能を加えるのではなく、無料のBIMxもより進化していくべきではないかと感じていました。そして昨日より、今まではPROバージョンにしか入っていなかった2Dビューアーが 無料のBIMxにも 加えられました。
これにより、多くのユーザーの「ビューアーは無料で制限なく誰でもアクセス出来るもの」と言う希望を叶える事が出来ました。

個人的に思うのは「BIMの民主化」(2年前のポスト)を実現するための、これはとても重要な1歩になるのではないか、と言うことです。限られた建築のプロだけでなく、より多くの人がBIMデータにアクセス出来るようになる、と言うことです。BIMデータが多くの人に必要とされること、すなわち、建設会社だけではなくその先のお客様、ビルのオーナーやテナントまでもがBIMデータを必要とすることでBIMの新しい時代が始まると確信しています。

真の革命が始まろうとしています!

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