2016年12月26日月曜日

私のこの秋のニュース、トップ3

しばらくブログの更新が滞っていましたが…、これは注目すべきことがなかったからではありません。むしろ、ご報告が追い付かないほど、いろいろなことがありました。年末になり、ランキングが発表される季節になりました。Man of the Year、Best of 2016など…。ですので私もこの秋に起こったことから、お気に入りのニュースを3つご紹介したいと思います。

1.シンガポールでのブレークスルー


これまで数回述べていますが、アジアにおいてARCHICADの普及を拡大するためには、シンガポールで強い存在感を示すことが大切だと思っています。シンガポールはASEAN諸国の「経済的な首都」だからです。2012年にオフィスを開設してから、強いチームづくりと、弊社製品をご愛顧いただけるお客様の数の増加に努めてきました。しかしいつも苦しい戦いを強いられてきており、「来るのが少し遅かったかな」と感じていました。シンガポールでは私たちは「標準の」BIMソフトウェアとして認識されていなかったからです。しかし状況は変わりました。BCA(Building & Construction Authority:シンガポールにおける国土交通省のような組織)が、ARCHICADの.plnファイルフォーマット(ならびにBIMx、「軽い」BIMデータ成果物と言われています)を建築確認申請の提出物として認可しました。シンガポールでは5,000㎡を超える建築物はBIMデータによる申請が必須となっています。これは私たちにとって、大きな一歩となりました。建築家はソフトウェアの選択肢が増え、彼ら自身のメリットのためにBIMアプリケーションを選ぶことができるようになったのです。これは私たちの活動を大きく後押ししてくれます!

ニュースリリース(英語)

2.Google Cardboard


私のことをご存知の方であれば、私がBIMxの大ファンだということもご存知かと思います。これは2011年、原点となるコンセプトが日本で考案されたことで「わが子」のような気持ちがあるのと同時に、この技術に大きな可能性を感じているからです。今年は、継続して提供している改善に加えて、2つの大きな変化がありました。1つ目は、無料版で2Dの機能が利用可能になったことです。BIMxの素晴らしい点は、3Dをきれいに速く見られることだけではありません(他のアプリでもこれは可能ですね)。2Dと3Dを組み合わせて利用できることや、プロパティ情報、ハイパーリンクなどの機能が、BIMxのデータがコンパクトなBIMデータといわれる理由です。現在、この機能は無料版(PRO版よりも多くの方にご利用いただいています)でもご利用になれます。これは簡単に使える、コンパクトなBIMビューワーがどなたでもご使用になれるということです!
2つ目は最近のことです。数週間前、 私たちはBIMxでのGoogle Cardboard機能の実装を発表しました。これによりVRでのウォークスルーが可能になり、これまで100万円以上したようなハードウェア/ソフトウェアシステムでしか体験できなかったことが、安価(1,500円ほど)に利用できるようになったのです。この2つの機能で、専門家以外の人にとってもBIMが身近に利用できる素晴らしいものとなりました。

ニュースリリース

3.会社紹介ビデオ


さて、これは楽しいことです。でも年末ですし、楽しい方がいいですよね?今年の初めに、GRAPHISOFT Italyは、彼らのオフィスやスタッフ、企業理念などを紹介する素敵な「イメージビデオ」を公開しました。こちらがそのビデオです。

GRAPHISOFT Italy 会社紹介ビデオ

これを、私たちも作ることはできないかと考え、本社で働く日本人、現在映像の学校で学んでいるHana Yamazakiに日本へ来てもらい、撮影を行いました。イタリア事務所のように美しいらせん階段はありませんが、私たちが持っているBIM、GRAPHISOFT、そして日本のお客様への使命を表現するためにベストを尽くしました。お気に召していただければ幸いです。お楽しみください!

グラフィソフトジャパン 会社紹介ビデオ

最後に、大きな成功の年となった2016年、グラフィソフトジャパンを信頼していただき、弊社製品をご愛顧いただいたお客様とパートナー様にお礼を申し上げます。2017年も、最高のBIM製品やサービスをご提供できるよう最善の努力を続けてまいります。

よいお年を! Happy New Year! Boldog Új Esztendőt!







2016年8月22日月曜日

ARCHICAD 20 - ソフトよりも大切なもの

いよいよARCHICAD 20のリリースです。皆さんは私が、その内容がいかに素晴らしいかを書くものと思われているのではないでしょうか。もちろん、バージョン20は非常に良いアップグレードとなりました。ここ数年で一番良いと言っても過言ではないでしょう。ただ、今回は違う話を書きます。それは、いかにARCHICADが優れていても(これから更に進化していくにしても)、ソフトそのものだけでは使う人の仕事のやり方を変えるまでには至らない、それには他に重要なファクターが存在する…と言うことです。

先日シンガポールに行った時、私は他のBIMソフトからARCHICADに乗り換えようとしている大手のデザイン事務所に対してのプレゼンテーションに参加していました。幹部の一人(実はトップの方でした)は、ほぼずっと静かに座っていらしたのですが、最後に一つ興味深い発言をされました。「我々が●●●からARCHICADに乗り換えようとしている最大の理由は、GRAPHISOFTから受けられる上質なサポートにあるのです。」機能、性能、操作性、連携など私たちが普段アピールしている点には全く触れず、サポートのこと「だけ」を話したのです。

その時から私は「一体GRAPHISOFTのビジネスとは何なのだろう?」と考え続けています。私たちは何を売っているのか? すぐに「BIMソフトウェア」と言う答えは出るものの、それだけではない…実は私たちは「新しい仕事のやり方」を提供しているのではないか、そしてARCHICADはその新しいワークフローの一部に過ぎないのではないか、との思いが段々と強くなってきました。もちろん、ソフトそのものは関係ないと言っている訳ではありません。優れた性能と操作性を持ったOPEN BIMソフトであることは必須条件であり、その部分はブダペスト本社で働く我々の同僚が担ってくれています。大事なのは、ARCHICADをベースにした新しいワークフローを用いることによって、顧客の仕事を効率化し業績を上げることが出来るのかと言うことです。そうでなければARCHICADは「豪華な夕食のために山海の珍味を集めたのですが、レシピがないので調理できません。それでは!」そんな風に例えられてしまうかもしれません。

マニュアルを読めばモデリングツールの使い方やレイヤーセットの作り方、IFCファイルの保存方法などはすぐに理解できます。でも、それだけでは十分ではないのです。そもそも何をモデリングする(しない)べきなのか、どんな種類のレイヤーセットを作るべきか、どのように確認申請の図面を作成するのか、ARCHICADと普段使っているMEPアプリをIFCでどのように接続するのか、なども知っておかなければなりません。このような高度な知識(いわゆる「ノウハウ」)が前述の「調理のためのレシピ」となって、本当の意味でARCHICADのパワーを活用することが可能になり、ひいては仕事のやり方までを変えていきます。

しかしながら、もし私たちがこの「ノウハウ」をユーザーが作ってくれる物だと期待していたら、ベンダーとしてきちんと仕事をしているとはいえないでしょう。これが、グラフィソフトジャパンで最大の部署は営業ではなくBIMインプリメンテーショングループ (BIMi) であると言う理由です。BIMiの社員は、ソフトウェアそのものに勝るとも劣らないほど重要なこの「ノウハウ」を培い、継続的に進化させていく業務を担当しています。具体的には、ユーザー自身でARCHICADが使えるようになるよう手取り足取り教える「JUMP!」トレーニングや、「How to use ARCHICAD」ブログ、GRAPHISOFTヘルプセンター、そしてもちろん莫大な時間のユーザーサポートなどで実現しています。 また、GRAPHISOFT Registered Consultants (GRC) の方々が本を書いたりトレーニングを開催したりすることによって、効率化の解決策を模索しているユーザーの手助けをしていることも忘れてはなりません。

ソフトウェアとノウハウ、両方の要素が揃わない限り、将来性はあるが違和感のある良く知らない物のために、以前から使い慣れた2Dワークフローを捨てることは出来ないと思います。ノウハウを年々積み重ねていくことは、ソフトを改良していくことそのものより、とても重要なことです。私たちグラフィソフトジャパンでは、新しいテクノロジーには飛びつかず世の中の主流になってから取り込むタイプの方々にもARCHICAD 20でBIMをスムーズに導入していただけるよう、さまざまな取り組みをしてきました。ARCHICAD 20は年齢が20歳になっただけではなく、内容とノウハウでも成熟期を迎えました。―いよいよ「成人」になる準備が出来た訳です!



2016年8月3日水曜日

BIMx の新時代が始まる

BIMx PROが発売されてもうすぐ3年になります。(前はBIMx Docsと言う名前でした)良い機会なので、現状について書きたいと思います。App Store‎とGoogle Playのランキングでは、BIMxとBIMx PROは全てのデザイン・建築部門の中で ダウンロード数・人気共に常に上位に入っています。



App StoreとGoogle Playの両方でBIMxは人気のアプリです

発売以来、BIMx PROには継続的に新機能が加えられ、単なる2D/3Dビューアー以上のアプリとなりました。現在ではBIMcloudサーバーに接続が可能になり、ユーザーはBIMデータを閲覧したり中を自由に見て周れるだけではなく、注釈付きのチームワークメッセージをスクリーンショットや写真を添付して送れるようになり、BIMx PROを効果的なコミュニケーションツールとして使用できるようになりました。今やBIMx PROはBIMバリューサークルの第3の柱として、ARCHICADワークフローに欠かせないものとなっています。



これはもちろん初めての試みではないのですが、今後はBIMx PROにだけ新機能を加えるのではなく、無料のBIMxもより進化していくべきではないかと感じていました。そして昨日より、今まではPROバージョンにしか入っていなかった2Dビューアーが 無料のBIMxにも 加えられました。
これにより、多くのユーザーの「ビューアーは無料で制限なく誰でもアクセス出来るもの」と言う希望を叶える事が出来ました。

個人的に思うのは「BIMの民主化」(2年前のポスト)を実現するための、これはとても重要な1歩になるのではないか、と言うことです。限られた建築のプロだけでなく、より多くの人がBIMデータにアクセス出来るようになる、と言うことです。BIMデータが多くの人に必要とされること、すなわち、建設会社だけではなくその先のお客様、ビルのオーナーやテナントまでもがBIMデータを必要とすることでBIMの新しい時代が始まると確信しています。

真の革命が始まろうとしています!

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