2013年11月22日金曜日

日建設計との契約 - 皆さんにとってのメリットとは?

ご覧頂いている通り、GRAPHISOFTは日建設計と戦略的パートナーシップを締結し、「BIM Competence & Research Center」を東京とブダペストに設立することとなりました。それぞれの都市にチームを結成します。GRAPHISOFTはプロダクトデザイナーと開発者を日建設計に派遣し、共同作業することで、BIMの実施を継続的に支援致します。しかし、さらに重要なのは、私たちが日建設計のプロセスをより深く理解し、よりシームレスなワークフローを構築するために何ができるかを考えることです。ブダペストチームは開発者で構成され、彼らの役割は、東京チームが導き出した方向性を実現することです。
調印式の様子
ビクター・オルバーン首相立会のもと、調印を交わす
日建設計 代表取締役社長 岡本 慶一氏、GRAPHISOFT CEO Viktor Varkonyi

「良かったですね、日建設計にとって良いカスタムソフトができるのですね。でも、私にとって何かメリットはありますか?」と思われるかもしれません。実際に、想像以上のものがあります。
まず、この契約は、カスタム開発ではないということです。この協力による成果の全ては、ArchiCADおよびその他GRAPHISOFT製品の商用版(正規版)に反映されることになります。なぜ日建設計は他社にこの共同作業の成果を共有する必要があるのか、と不思議に思われるかもしれません。日建設計は、カスタム開発をするということが、ソフトウェアの能力を高める健全な方法ではないということを十分に理解しています。カスタム開発をすることによって、ソフトウェアのコードは2つに分岐され、双方共に別々に管理し続ける必要があり、従って、開発者にとっての効率性の大きな損失、あるいはクライアントへの大きな費用の負担が発生します。BIMの考えと同じように、コードが一つに保たれれば、より少ないカスタマイズで解決でき、日建設計にもメリットがあるのです。したがって、共同作業の結果はより良いGRAPHISOFT製品の形となって現れ、日本、そして該当する場合には、世界中で共有されることとなります。
2つめに、日建設計は非常に高度なワークプロセスを確立しており、設計事務所の規模に関わらず、大きなメリットがあるでしょう。つまり、私たちがArchiCADを日建設計のニーズに合わせるように調整することで、日本さらにはアジアの他の企業でも、より有用である可能性が高いということを意味します。シンプルに言えば、日建設計にとって良いことは、あなたにとっても良いこと...となるでしょう。
そしてさらに言えば、この長期的なパートナーシップの締結によって、GRAPHISOFTの注目が日本に集まることは間違いないでしょう。日建設計から受け取るインプットによって、プロダクトデザイナーや開発者がさらに日本市場の特殊なニーズについて検討することになることを確信しています。ArchiCADの利用が現在のようなペースで成長すれば尚更です。

そうならない理由などないでしょう...

2013年11月12日火曜日

日本からアジアへ

既にご存じかもしれませんが、GRAPHISOFTの組織にいくつか変更がありました。GRAPHISOFT SECEOであるViktor VarkonyiNemetschek AGのエグゼクティブボードの一員となり、私はアジアのVP(バイスプレジデント)として、アジア市場全体を統括することになりました。Viktorの昇進について強調しておきたいのは、彼は今後もGRAPHISOFT SECEOの立場も継続するということです。従って、Nemetschek AGの意思決定におけるGRAPHISOFTの影響力は確実に大きくなるでしょう。私の昇進については、世界の人口の30%を占める国々(インドは本社の管轄)、そして25%GNPを誇る市場を一任されることは、大変名誉なことですが、この昇進は私個人の実績によるものというより、グラフィソフトジャパンの功績が評価された結果です。それはもちろん、お客様やパートナー様が私たちを信頼して頂き、サポートして頂いたおかげです。この場を借りて、改めて心から感謝申し上げます。4年前は、アメリカの巨大な企業に対して、今よりも小さいハンガリーの会社にそれほど信頼のおける状況にはなかったと思います。

アジアに関しては、去年の7に私たちの取り組みについて書きました。それ以来、シンガポールオフィスを設立し、中国での存在感をより一層高め、また、数カ国でさらに強力なパートナーとの提携を行うなど、様々な発展がありました。しかし、さらなる強化が必要です。今後数年で、競合他社の後を追うのではなく、ヨーロッパと同じように、強力な市場シェアを確立することが極めて重要になります。

良いニュースは、先日開かれたアジアパートナーカンファレンス(今年はシンガポールで開催)で、私たちのパートナーはさらに強化され、お客様のサポートが十分にできる状況にあることが明確だったことです。それによって、来年はこの地域で現実的に30%以上の成長が可能だと考えています。特に、BIMの発展がかなりの勢いで拡大し始めている韓国、中国、シンガポールでは大きなチャンスがあります。

これらの国々の状況は4年前の日本の状況と似ているということを、数名から伺いました。多くの企業がBIMソフトを所有していると主張しますが、その使い方について尋ねると、たいていの場合、プレゼンテーションの目的や、通常の2Dワークフローに付加するプロセスのみが行われていることがほとんどです。確認申請の一部としてBIMモデルの提出が求められるシンガポールでさえ、設計図書は通常、2D CADで作成され、BIMモデルの作成は作業量の増加としてみなされがちです。当然のことながら、そういった企業には、日本のお客様のようにBIMモデルから図面を生成することを推奨するようにアプローチを始めました。
最後に、この件は日本のお客様やパートナーの皆様にとってはどういう意味になるでしょうか? 私が日本について、あまり気にしなくなるということでしょうか?もちろん違います。グラフィソフトジャパンの代表取締役としての立場も継続します。今よりは離れることが多くなると思いますが、まだまだやることはたくさん残っていますので、今後も日本が一番のフォーカスになります。幸いにも、私たちのチームは非常に頼もしく、自立しているので、最近では、実際のオペレーション業務にかける時間はかなり少なくなりました。しかし間違いなく、過去数年間で行ってきた道筋をそれることだけはありえません。それは、ユーザーの皆様の発展をサポートすることに集中することです。

そして、それがまさにアジアのオペレーションにおいても適用したいと考えていることです。「日本式」はアジアでも大いに活用できると考えています。それは、単に同じ販売戦略を適用するということよりも、信頼性の高い顧客サポートを提供し、それぞれの国に合ったノウハウを提供し、お客様の声を積極的に伺い、アジアの要求に集中するように本社を説得することです(基本的にアジアの要求は日本のものとかなり似ています)。私の目標の一つは、今後4年間で、皆さんがアジアに出張したときにArchiCADユーザーに出会う機会をさらに増やすことです...