2013年6月26日水曜日

BIMで仕事を見つけるには?

私たちは、設計事務所の方々にBIMの利点を説明します。効率化、整合性、調整の問題の解決などです。ある人にそれを伝えていると、彼は熱心に耳を傾けますが、彼の目を見るとどこか腑に落ちない様子が見て取れます。そして、彼は尋ねました。「素晴らしいことですが、私にとってはそれが問題ではないのです。それ以前の話です。私の問題は、十分な仕事がないということです。それをなんとかできますか?」

建築家にとって、人脈や推薦などを通じて仕事を得るのは最も簡単な方法ですが、それが必ずしも上手くいくわけではありません。そして特に、過去の作品が少ししかない(あるいは全くない)、若手デザイナーはそのように仕事を獲得するのは非常に困難です。残る方法はコンペです。あらゆるタイプ、規模のコンペがあり、これらは事務所の規模や、建築家の経験などに左右されず、誰にとっても平等なものです。この場合、重要になるのはコネや名声、評判ではなく、作品のクオリティのみです。

問題は、建築のコンペはリスクがあるということです。非常に経験豊富な事務所であっても、勝率は30%といったところでしょう。したがって、結局は数の問題となるのです。より多くのコンペに参加すれば、勝ち取れる案件が増えることとなるでしょう。しかし、コンペに参加することは多くの労力を必要とし、たとえ勝ち取ったとしても黒字になることを保証するものではありません。もし、長期間に及んで負け続ければ、多くのお金を無駄にし、致命的な状況に追い込まれることになるでしょう。

勝率を高めるにはどうしたらよいでしょうか?答えは簡単です。効率を高め、BIMモデルを使用してより多くのコンペに参加することです。BIMを使えば、信じられない程に迅速かつ効率的にコンペに参加することができます。モルフツールを使えば、難なくマスモデルを作成することができ、それと同時に各フロアの床面積を割り出すことができます。デザインが決まれば、そのマスモデルをスラブ、壁、柱などの適切なBIMモデルに変換させます*。結果として、レンダリングとアニメーション用に使える3Dモデルに加え、1:200または1:100レベルで自動的に生成された平面図、断面図、ファサードが手に入ります。そして、モデルへのあらゆる変更は、図面に自動的に反映されます。つまるところ、BIMとはこういうものなのです。

これら全ては、厳しいラーニングカーブを伴うものではありません。数日のトレーニングと数週間の実践で行うことができます。現在では、BIMは設計の初期段階で、実質上完璧に運用することができます。BIMをコンペに利用することによって、入札のための時間や工数を劇的に削減することができます。ArchiCADのユーザーの一部は、リソースを3分の1に削減することができると主張されています。これは、今までと同じ労力で3倍のコンペに参加できるということ、つまり、勝率が3倍になることを意味するのです。最近のユーザー事例の一つで、横松建築設計事務所の横松氏はこのような戦略について語っており、以前より遥かに多くの仕事を獲得されています。

仕事を獲得すれば、基本設計・実施設計におけるBIMのメリットを得ることができるでしょう。

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*この方法はArchiCADのみで行うこともできますが、生活産業研究所のすばらしいアドオン「MassPlan」を使うことで、自動的に行うことができます。