2010年8月9日月曜日

愛の物語

「私はPC少女。彼はMacさん」。ここからマリアナの話が始まります。イタリアの少年がアメリカの少女と出会い、恋に落ち、結ばれます。二人とも建築家であり、結婚にあたり部屋の共有だけでなく、職場も共有することになります。そして二人でEMUアーキテクツ社を立ち上げます。しかし、そこでいくつかの疑問がわきます。その中の1つがどのOS、どのCADシステムを使うかというものです。

二人はMACとArchiCADに決めました。小規模なヨーロッパの事務所では人気の高い選択です(EMUアーキテクツ社は北イタリアにあります)。さらに興味深いのは、その結論に至る理由です。愛とは異なり、その選択は理論的でした。OSに関しては、Macは価格の割に効果が高く、損するものはないと結論しました。Windowsの互換性はもはや問題とはならなくなりました。
「Macへの投資を最大限活用するというこの需要な決定が、最終的にハイエンドソフトウェアの自由度を利用できる結果となりました。」
CADソフトウェアの選択に関しては、「いままでのやり方」が非常に無駄であることはよく理解していました。エンリコさんはこう語ります。
「2D CADを使って実際のデザインや詳細を行って、レンダリング用に3Dモデルを作成し、別のスプレッドシートを使ってプロジェクトの費用、建材数量、要素一覧などを計算していました。この全てに非常に時間がかかっており、エラーの原因となっていました。」
二人が以下の結論に達したのも驚くにはあたりません。
「疑問を解決するための検証し、この業界でBIMソフトウェアを使用していない人は全く愚かだ、という結果に達しました」
日本では、BIMは「大手だけが手に入れられる」ものととらえられ、小規模事務所において軽視される傾向がありますが、この論議がひっくり返っているのは興味深いことです。BIMは小規模事務所が大手の影響力のある事務所に立ち向かう唯一の最善の方法です。
「これにより二人でも、AutoCADプロジェクトで複数の人が行っていたのと同じ時間で全てのことを完成できるようになりました。できた余った時間でレンダリングや他のやりとり、プレゼンテーション資料を行うことができます。」
この二人の若手建築家がBIMの利点をはっきり理解しているか読むと、ヨーロッパやアメリカで小規模事務所が最も熱心にBIMを推進しており、保守的で、変化に弱く、2Dテクノロジーにしがみついている大手事務所に常に挑戦していることが理解できます。面白いのは、日本でもこのような競争環境は同じなのに、小規模事務所が自分たちに必要なことを認識するのに躊躇していることです。

エンリコとマリアナの話しに戻りましょう。「めでたしめでたし」となっているでしょうか?そうだと思います。ウェブサイトにポートフォリオを載せる時間もないほど忙しいようです。
OSとCADの選択、そしてエンリコのArchiCADの検証に関する記事(英語)はこちらをご覧ください。

ちなみに、EMU社のブログには、
LightworksやArtlantisを使用したレンダリングの方法や、一般的な建築に関する他のいろいろな情報もあります。